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授業の見方「主体的で対話的で深い学び」の授業改善

澤井陽介さんの『授業の見方「主体的で対話的で深い学び」の授業改善』を読んだ感想を書きます。

この本から学んだことは次の3つです。授業のゴールを明確化することが大切であること。教師の価値観を子供に伝えること。そして、子供を良く見るということです。

①ゴールの明確化

この本では、単元や本時の目標の設定の仕方について詳しく書かれています。学習指導要領を参考に、児童の実態に合わせて設定すべきではありますが、指導書の通り書いてしまっていることも少なくありません。しかし、目標について教師が深く理解していないと、授業がぶれてしまいます。子供の発言に対してどう切り返すか。予想と異なる反応をしたとき、どのように修正していくか。目標に対する理解が十分でないと、適切に対応することができません。目標について一から考えることで、子供のどのような力を伸ばしたいのかを明確にすることができます。少なくとも、指導書の通りに写していたのでは、目標を理解することはできません。

また、澤井先生は評価を明確にするとこの大切さについても述べています。

「目標とは違い、学習評価には方法(すなわち評価方法)が含まれるということです。つまり、学習評価について記述するに当たっては、「どんな観点から」「どのような規準で」「どのような評価材料(子供の表現など)を基に」評価するのかという評価方法の記述が必要となるのです。」(澤井陽介、2017、『授業の見方「主体的で対話的で深い学び」の授業改善』、東洋館出版社、pp.68-69)

例えば評価が「~を理解する」では曖昧でしょう。「理解する」ということを、もう少し具体的にする必要があります。これが、「ノートに~について~と書いている。」などとすれば、「理解する」ということが、子供の具体的な姿でイメージすることができます。授業のゴールが子供の具体的な姿でイメージすることができれば、そのための手だても具体的に想定することができるようになります。

このように、授業のゴールを明確化することは授業改善につながります。毎時間、指導案を明確にすることは難しいですが、目標と評価方法、評価規準を週案に書くことは難しくないでしょう。私自身このゴールを明確化することを実践して以来、迷ったときに授業の目標に立ち返って対応することができました。そして、仮に上手く対応することができなくても、授業後に「どうすればゴールとして設定した姿に迫ることができたのか」と振り返ることができるようになりました。今までは、振り返る視点がなく、気ままに振り返っていました。今は、振り返る視点が明確になり、より充実した振り返るを行うことができています。

②教師の価値観を子供に伝える

澤井先生は、「授業はみんなでつくるもの」といった考えがクラスに良く浸透した充実した学習活動を行う授業者の特徴として「子供たちが発言するたびに、その一つ一つの着目点褒めながら、協力して学ぶことの大切さを抜かりなく伝えています。」(前掲書、p.100)と書かれています。

このところを読んで、私は子供に自分の価値観を伝える言葉が少ないなと思いました。確かに、4月の学級開きのときや学期初めのときには意識して伝えることはありません。しかし、毎時間の授業の中で繰り返し伝えてはいません。きっと、学級の子がなかなか発言しようとしないのは、私の価値観を伝える言葉が少ないことも原因の1つでしょう。

例えば「反論することは勇気がいるよね。でも、意見が対立するから学びが深まるんだよね。」とか、「すごいところに目を付けたね。きっと、気付かなかった人もたくさんいるんじゃないかな?」などと、自分の意見を発信することの大切さを細かく伝えていれば、子供の反応も変わってくると思います。

また、教師の表情についても澤井先生は次のように述べています。

「あえて困った表情をして子供が考えるように仕向けたり、驚いた顔をして子供の良い発言を褒めたりする表情豊かさも教師には大切です。こうした教師の表情を子供はよく見ています。」(前掲書、p.115)

表情も価値観を伝える手段の1つだと思います。以前、話し合いをする授業の中で意識してテンションを高くしてみたら、普段よりも多くの反応が子供たちから返ってきたことがありました。きっと、子供たちは「先生は、いろいろな意見が出てくることを良いと思っている。僕の考えは正しいかどうかは分からないけど、さっき発言した○君と違う意見を言うときっと受け入れてくれる。」と感じたのかもしれません。

逆に、なかなか子供からの発言が少ないからといってイライラしたり、焦ったりしていると、子供たちも「間違ったことを言ってはいけないのかも。」と考えるかもしれません。普段の言動、子供からの見え方から、価値観を伝えることを意識することは大切だなと感じました。

③子供を良く見る。

澤井先生は、授業を参観して、「全員参加の授業を作ろうとしていて良い授業だな」と感じた授業の特徴として、授業者の次のような発言を挙げていました。

「「実はBさんのノートを見たら、みんなが気付いていないことに気付いているんです。」「ここはCさんの出番かな」」(前掲書p.150)

このところを読んだとき、私は「この授業者は子供のノートをよほどしっかり見ているに違いない。」と思いました。良く、机間巡視は大切だと言います。子供の思考を把握し、その後の話し合いの構想を練るというものです。しかし、これはなかなか難しいものです。中には困っている子がいてその支援に当たったり、課題を取り違えている子がいてその修正を行ったりしています。すると、一人一人がどのような考えをもっていたのか分からなくなってしまうのです。

しかし、この授業者のように発言を取り上げようと意識することで授業が変わると思いました。覚えるのが難しかったら、机の間を回りながら「すごい発見が書いてあるな。この後の話し合いでAさんが活躍するだろうな。」「みんなが気付いていないことに気付いているから、後で発言してもらわないとな」などとぼそっと呟いておけば良いのです。心の中で考えておいたことはすぐに忘れがちですが、言葉に出して言ったことは覚えているものです。そして、そのように呟きながら見ようと意識することで、話し合いをどのように構成していくのかイメージを作ることができます。

ゴールを明確化すること。教師の価値観を伝えること。子供を良く見ること。とても大切なことを学んだ本でした。

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